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光を求めて
第16章 初デート

「優さん。お昼のお金――」

「男と一緒にいるのに払わせるわけないだろうが」

「でもっ」

「ああ?」

財布を取り出してお金を出そうすると、頭の上から不機嫌な声が聞こえた。

「だって、あのっ……ごめんなさい。慣れてなくて」

男の人と普通のデートをしたことのない私は、おごってもらうのが普通だという認識がない。

「だったら映画館でジュースでも買ってくれ。それでいい」

その言葉に顔をあげると、優しい眼差しを向けられていた。
だから優さんも私を好きなんだと、勘違いをしてしまいそうになる。
普通の恋愛に縁がない私、ちょっとした優さんの気遣いに心ときめかせていた。
約束通り映画館ではジュースとポップコンを私が買った。
だけど、映画のお金は優さんが出してくれて、財布を出そうとすると嫌な顔をされた。

「俺から誘ったんだ。気にするなっ」

その言葉さえキュンッとする。
映画が始まっても、隣に座っている優さんが気になって映画どころではなかった。
暗闇の中、ばれないと思い優さんを見ていると視線を向けられ、顔を近づけて耳元で小さい声で囁かれた。

「どうした?面白くないか?」

慌てて首を振りスクリーンに視線をむけるけど、耳元にかかった吐息の感触が残って身体の奥が熱くなる。


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