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光を求めて
第16章 初デート
「最初に……会ったのがここだったな」
柱に寄りかかりながら線路を見つめていると、優さんの声が耳に届いた。
「そうでしたね。ここで助けてもらったのが始まりでしたね」
雅也に裏切られ、田所さんにも良いように遊ばれ、生きていたくなて無意識に死のうとしたあの時、それから優さんとの関係が始まった。
「あの時……捕まえられてよかったと思うよ。この手からすり抜けることなく捕まえることができて」
優さんは少し寂しそうに言葉にしながら、彼の指先が私の頬に触れた。
愛おしいモノを触るように私の頬を優さんの指が何度も何度も撫でた。
「優……さん?」
「いつも辛そうな顔をして、無理して笑って」
優さんの指が唇に触れ、優しい手つきで撫でる。
それだけでドキドキは加速し、どうしていいのか分からず動けなかった。
「見てられなかった……今も、時々辛そうな顔をする」
そういいながら、優さんの顔が近づいてきて……
「俺はっ……」