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光を求めて
第17章 恋愛初心者
「ゲンさんにはお礼を言いたかったんですよね。田所の事で色々とお世話になってそれっきりだったから。なので丁度よかったです」
にこやかに話す峰岸さんは、田所さんの事は完全に吹っ切れているようだった。
あれから数か月しか経っていないのに、私の中では随分前の様に記憶は薄れていた。
午後は仕事に専念して3人とも定時で終わることができた。
少し早いけど軽めの夕食を食べてmaple‐メイプルに足を向けた。
2人は楽しそうにしているけど、私はドキドキして足取りは重い。
重くなる理由は優さんの事もあるけど、初めて人をmaple‐メイプルに連れて行くということに緊張している。
maple‐メイプルでできた知り合いはたくさんいても、知り合いを連れて行くことは初めてで、ゲンさんがどういう反応をするのか気になっていた。
邪険にはしないと分かっていてもドキドキが止まらない。
だけどそれは杞憂に終わる。
「いらっしゃい。良く来てくれたね」
同僚だと説明すると、ゲンさんはにこやかに迎え入れてくれた。
進められる席に座って飲みたいお酒を頼むと、いつものように手際よくカクテルを作ってくれる。