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光を求めて
第18章 好きなのに
「優さんは独り暮らしでしたよね。食事とかどうしてるんですか?」
「俺か?適当だな。ここ最近は忙しすぎてろくなもん食ってなかったな」
「そんなに忙しいんですか?」
「ああ、今の現場が再来週の金曜日には明け渡しだからな。今は最後の大詰めで飯食ってる暇もないぐらいだ。今日はたまたま早く仕事が終わって久しぶりに飲みに行こうと思ったら麗が待ち伏せしてやがって」
ブツブツと文句を言いながらグラスの中の焼酎を飲み干し、何杯目が分からない水割りを作る。
「待ち合わせしてたんじゃないんですか?ゲンさんに紹介するって」
「あっ?」
水割りを作りながら睨まれると、慣れたと言っても身体が縮こまる。
「えっと……麗さん?優さんがゲンさんに紹介してくれるって」
「それか。勝手に言ってんだよ。何度かmaple‐メイプルやゲンさんの話をしたことがあるだけで紹介しろ!連れて行け!ってうるさいんだ。俺にとって隠れ家みたいな場所を教えるつもりはなかったが……どこから情報を仕入れたのか勝手に待ち伏せしてたんだよ。結局紹介する羽目になったがな」
うんざりだと言わんばかりに作ったばかりの水割りを一気に飲み干し、ガツンとテーブルに置いた。