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光を求めて
第18章 好きなのに
「そもそもお前のせいだろうが。勝手に帰りやがって。スマホは通じない家は知らない。ゲンさんに聞くしかなくて……これで麗がmaple‐メイプルに入り浸ったらどうするんだ?えっ?」
優さんの怒りの矛先が私に向き、どう返事をしたらいいのか分からない。
だけど、優さんが麗さんに気持ちがないのだけははっきりと分かってホッとした。
そう思っていると自然と笑顔になっていたようで優さんはさらに不機嫌になる。
「何笑ってやがる!」
「わっ、笑ってませんよ」
「いんや。笑ってるね。何かむかつくな」
「え~~!!」
「何が、え~~だ?あ゛っ?ちょっと来い!」
いきなり腕を取られて抵抗する暇もなく引っ張られると、その反動で優さんの胸の中に倒れ込んだ。
胸から伝わる温もりにドキドキして一気に体温が上昇する。
「飲んでもないのに何真っ赤にしてんだよ」
私の顔を覗き込んだ優さんは、今までと違って楽しそうに言葉にする。
少し視線を上げると言葉同様に嬉しそうな表情が目に入る。
「お前……かわいいな」
小さな声だったけど聞こえた言葉に一気に身体中の血液が逆流して沸騰したように熱くなった。
「かっ、かっ、かわっ、かわいい??」
「吃(ども)りすぎだ。本当にかわいいな。お前」
目尻を下げて笑いながら、優さんの手が頬に触れ緊張が走る。