この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
光を求めて
第18章 好きなのに
「何、ですか?」
「その……雅也という男が出て行った理由、彩羽を裏切った理由、お前は何も知らないのか?」
「はい。何も言わずに出て行ったから知りようがないんです。きっとどこかで私を見かけて懐かしくて声をかけたんだと思います」
私の前に現れた理由を最後まで聞けなかったから、そう思うしかなかった。
「もし……理由があってお前の前から姿を消したとしたら?」
「理由なんてあるはずないですよ。どうしてそんな事思うんですか?」
意外な言葉に驚く私に、う~んと何かを考えながら言葉にする。
「なんとなくな……話を聞いている限り、そんなに薄情な男には思えないんだ。それに懐かしくて声をかけてくるような別れ方じゃないだろう?本当だったら姿も現せない。それなのに声をかけてきた…――もし、まだ雅也がお前の事を好きだったら……お前はどうしたい?」
優さんの言葉に何も言えなくなった。
もし雅也が私の事を好きだったら?
全てに理由があって私から離れていったとしたら?
初めて感じる可能性に私の心が揺らぐ。
優さんが好きだとはっきりと分かっているはずなのに……簡単に答えが出せなかった。