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光を求めて
第19章 彼の想い

「このチャーハンね、最初にゲンさんと会った時に食べさせてもらったの」

「そうだったか?」

「うん。初めてここに連れてこられた時、このビルの中で犯されるんだと思った。エレベーターが開くと数人の男たちがいてゲンさんが連絡して集めた男たちなんだって、その男達で犯されるんだと覚悟したの」

当時の事を思い出して言葉にすると、ゲンさんははぁ?と嫌な顔をする。

「だけど違った。ここで寝ろって奥の部屋に通してくれて、トイレに行きたくてこっちの部屋に連れてきてもらった時にチャーハン作ってくれた。暖かくて美味しかったのを覚えてる。だから、このチャーハンは私の想い出の味。このチャーハンに私は救われた」

あれから約10年。
私は何も変わらない。
変わりたいと思っていても結局は同じ事の繰り返し。

「ゲンさん、ごめんね。心配ばかりかけてごめん」

ごめんと謝ると、ゲンさんは私の横に座って私の頭を引き寄せて抱きしめてくれた。

「どうした?何があった?」

この言葉が好きだった。
私の変化に敏感で、すぐに話せと聞いてくれる。
だからゲンさんに甘えて色々と話をしては心を軽くした。
今日だって私はゲンさんに話して心を軽くしたい。
このままでは心が押しつぶされそうで苦しいから。
だから私は話す。


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