パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第19章 彼の想い

今朝の電話の内容はこういう事だった。
仕事が最後の最後で問題が発生して一週間ずれ込む結果になり、監督として立場がある優さんは不眠不休でその処理に追われていたという。
その仕事が一段落したのが昨日の夕方近くで、ほとんど寝ていなかった優さんは倒れるかのように朝まで眠っていたという。
連絡するのが遅くなったことを何度も謝り、今日の夜会いたいと言われてmaple‐メイプルで会う約束をした。
その時に何と言われるのか怖くて、どうしても悪い事ばかりを考えてしまう。
もしお前とはつきあえないと言われれば、私はまた逆戻りをしてしまうかもと思って怯えている。

「彩羽にとって悪い話じゃないだろう」

ゲンさんの言葉に顔をあげると、優しく頬を撫でられる。

「もし、断る話だったらここではしないだろうよ」

「そうかな？」

「俺がどれだけお前を大事に思っているか知らないわけでじゃあるまいし、わざわざ振るのにここは選ばんさ」

どこからその自信がくるのか分からなかったけど、ゲンさんに言われるとそう思えてくるから不思議だ。
さっきまでの不安が嘘のように軽くなり、落ち着くことができた。
それからゲンさんと並んでお酒を飲みながら優さんが現れるのを待った。
一時間経っても二時間たっても優さんは姿を見せない。
それどころか、客一人こない。