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光を求めて
第19章 彼の想い

「お客さん?」

出て行こうとしない男にゲンさんはもう一度声をかけると、私から視線を離しゲンさんに軽く頭を下げた。
そして、コツコツという足音を響かせながら私の横に立った。

「彩羽、隣いいかな?」

一言声をかけ、返事もしていないのに隣に座った。
私は彼を見ることも出来ずにガラスに映る自分ばかりを見ていた。
だけど、私の横には彼がいるのがガラス越しにはっきりと分かるし、お互いにガラス越しに見つめ合ったまま逸らすことができない。

「えっと……なんだ……彩羽の知り合いか?」

この状況でゲンさんだけが分からず、珍しく戸惑っていた。

「うん、昔ちょっとね」

辛うじて出たのはそんな言葉。
昔ちょっとどころではないけど、ゲンさんに彼を説明する気持ちにはなれなかった。
説明したとしてもゲンさんの怒りを買うだけだと分かっていたから教えられない。

「あの、ごめんなさい。今日は人と待ち合わせをしてて、だから店も閉めてもらってるの」

だから帰ってとはストレートに言葉にできず口ごもる。
そんな彼は私に一言言葉を発した。


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