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光を求めて
第19章 彼の想い

「今更――」

私の声とゲンさんのスマホのメロディが重なった。
ポケットから取り出して内容を確認したゲンさんは大きく溜息を吐いた。

「ゲンさん?」

「あ?ああ……悪い、ちょっと急用ができた。悪いが帰る時は鍵を閉めて帰ってくれ」

そう言いながら慌てて店を出て行くゲンさんの後を追った。
エレベーターが来るのを待っているゲンさんを捕まえてふたりっきりにしないでと懇願する。

「悪い彩羽。どうしても行かなきゃ行けないんだ」

「でも」

どうしても雅也とふたりっきりになりたくなくて一人にしないでと頼む私にゲンさんは笑った。

「あの男が全ての元凶なんだろう?だったら良い機会じゃないのか?あの男が言った通り、どうして自分を裏切ったのか、どうして何も言わずに消えたのか聞けばいい。そしてそれから答えを出せばいい。……まだ気持ちが残ってるんだろう?だったらきちんと話をして自分の気持ちを確かめろ。俺は、お前が誰を選ぼうと応援してやる。だからきちんと向き合って前に進め、いいな」

そう言ってゲンさんはエレベーターに乗って消えた。
店内に戻ると、昔と変わらない笑顔で私を迎えてくれる。
とりあえずは、雅也にウーロン茶を出して隣に座った。


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