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光を求めて
第19章 彼の想い
「一番手放したくないモノを手放したかな」
「一番?」
「そう……一番手放したくなかったモノ。今でも後悔してる。どうして自分の意見を押し通せなかったのかとね。だからもう一度手に入れようと頑張ったけど……もう一度手放してしまったんだ」
雅也の言葉に心がドキッと鳴る。
まさかとは思う。
だけど私の思っていたことが事実ならば私は……
「そんなに大事だったの?」
「うん。今でも後悔する程にね。だからここに来たんだ。全てを捨てでも手放さない覚悟でね」
私の思っていたことが確証に近づき真剣に見つめられるその視線に、私の心はドキドキと音を出して鳴りはじめ、雅也の手が伸びて私の頬を撫でると一気に身体が熱くなる。
「僕が手放して後悔しているのは……彩羽の事だよ。今でも愛しているんだ。昔と変わらず今でも彩羽を愛している」
愛しているという言葉に全てを許してしまいそうになる。
あんなに憎んでいたはずなのに、この瞳でみつめられると簡単に許してしまう。
それでも、今は心がブレーキをかける。
もう二度とあんな思いはしたくないと簡単には受け入れられない。