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光を求めて
第19章 彼の想い
「父の会社はね、僕が大学の頃から危なかったんだ。何もしなければ倒産するところまで追い込まれていた。それを助けてくれたのが名城家なんだ。負債の肩代わりをしてくれて、これからの運転資金まで用意してくれた。――彩羽と別れる事を条件にね」
「私と別れる事?」
思いもよらない言葉に聞き返せば、そうだよと儚く笑う。
「おじ様は、僕と彩羽が付き合っていることを知っていたんだ。父の会社が軌道に乗ったままだったら結婚も許されたかもしれない。だけど一度落ちぶれた会社が簡単に盛り返せない、そう思ったんだろうね。……僕も最初はその条件は飲めないと突っぱねたんだよ。結婚も視野にいれてつきあっていたから、そんな会社を守るために彩羽を手離せないとね。彩羽は覚えているかな?僕が大学生の時、中々会えない時期に父と名城家に現れたの。彩羽が学校から帰ってきて僕を見た瞬間の花が咲くような笑顔を今でも覚えているよ。おじ様に叱られながら僕の横に座った時、触れたくて触れたくて仕方がなかった。だから勉強を理由に彩羽の部屋に移動してキスをしたんだよ」
雅也の言葉に段々と思い出してくる過去。
論文や研修などで会えない日々が続いて寂しさが増していた時、学校から帰ると雅也がいて驚いた。
そして、雅也の言う通り私の部屋に移動してキスをして、まだSEXもしてなかったけどお互いの手と口で愛し合った。