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光を求めて
第19章 彼の想い
「覚えてるよ。私にとっては雅也と一緒にいられる貴重な時間だったから」
「そうだね。その時に父はおじ様に頭を下げていたんだ。どうにかして須藤コーポレーションを立て直したいから力になってほしいと……その時に条件を出されたと、家に帰ってから言われたよ。それから何度も会社に足を運んでは話し合いを続けたけど、おじ様の条件は変わらなかった。そして、最後には父が僕に頭を下げるんだ。母のいる前で土下座して……条件を飲んで会社を守って欲しいと。さすがにきつかったよ。あの父が僕に頭を下げるんだからね。それでも彩羽を手離したくなくて僕も悩んだ。……一度会社に連れて行かれたんだ。そこで働く社員を見せられたら嫌だとは言えなかった。僕が我儘を突き通せば、この何百人と言う人たちの生活が無くなると思うと……僕は条件を飲むしかなかった」
私の知らない場所で繰り広げられた話に言葉がなかった。
私と雅也の中を引き裂いたのが父だと知って、怒りより悲しみが沸き起こる。
「でもっ、あの女の人は?雅也が彼女だって紹介してくれた人……SEXまでしてた」
思い出したくない場面でも鮮明に思い出すから嫌いだ。
それでも今の話しだと辻褄が合わない。
「そうだね。女性とSEXをしているところを見られたね。だけどね。彼女とはしていないんだ」
「うそっ!ちゃんと見たんだから。そして愛してるって……結婚しようって言ったよ」
思い出しただけでも涙が溢れてくる。