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光を求めて
第19章 彼の想い
「全て演技だよ。彩羽を信じさせるための演技……それも、おじ様のシナリオ通りだった」
「父の?」
「僕が別れを切り出したところで彩羽は信じないし、僕も踏ん切りがつかないだろうからお互いにきっぱりと諦められるようにと……相手の女性はおじ様が連れて来た知らない女性だったんだよ。お互いに裸ではいたけど何もなかった……というか欲情さえしなかった。欲情するわけながないよね。これから一番大事なキミを傷つけようとしてるんだからね」
淡々と語る言葉とは裏腹に衝撃的な内容に言葉もでなかった。
私が雅也を恋い焦がれて待っている間に、そんな話が進んでいたなんて考えも及ばない。
「それから僕は、直ぐにアメリカに渡ったんだ。名城家とは家が近いからばったり外で会わないようにと。それも良いと思ったんだ。彩羽との思い出のない場所で一から出直すのも悪くないとね。だけど忘れる事なんてできなかったよ。誰かと付き合おうとしても彩羽の顔がちらつくんだ。そして付き合ったとしても彩羽と比べてしまう。そうするとね。他の人とSEXするのを拒むかのように勃起しなくなったんだ……一種のEDだね。それ程までに彩羽の事が好きだったのかと改めて思っても後の祭りでどうすることもできなかった」
「えっ?でも、再会して私と寝ていた時……反応してたよね」
「気がついてたの?」
少し照れながら笑う雅也に頷いた。