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光を求めて
第19章 彼の想い
「本当に不思議なんだけどね。何年も反応しなかったのに彩羽を抱いて寝るようになって反応するようになったんだ。やっぱり気持ちの問題だったみたいだね」
それだけ雅也は私の事を思ってくれていたのかと少し嬉しくなる。
「でも……どうしてまたいなくなったの?また裏切られて私ショックだったんだよ」
「ごめんね。その話をする前に、もう少し僕の話を聞いてくれる?」
それに頷くと雅也は自分の想いを言葉にしてくれる。
「おじ様の思ったとおり、一度基盤が揺らいでしまったら完全に立ち直ることは無理だったんだ。どんなに頑張っても昔みたいに盛り返すことができなかった。そんな時に合併の話が持ち上がってね。父は直ぐに承諾したんだ。今まで必死に頑張ってきたのに簡単に合併なんてと僕は思ったんだけどね。……父はね、僕の為に会社を手離すことを決めたんだ。僕が彩羽の事を今でも好きだって、ずっと忘れられなかったことに気がついていたみたいなんだ。父も後悔していたみたいでね、このまま会社を続けても悪くなる一方だと分かっていたし、ここで会社を手離せば僕が自由になれると思ったらしいんだ。会社を手離せば、僕が会社に縛られることなく彩羽の元に行けると……決断してくれたことなんだ。だから僕は彩羽に会いに行った。だけど、彩羽の日常を知れば知る程驚いたけどね」