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光を求めて
第20章 私の未来
「なんだ、彩羽も来てたんだ」
「あっ、上野……じゃなかった、弓絵(ゆみえ)さんお久しぶりです」
「また??いい加減覚えてよね」
膨れっ面する上野さん……じゃなくて、弓絵さんに苦笑いしながらごめんねと言葉にする。
弓絵さんはここで出会った常連客の高橋さんと結婚し、今は高橋弓絵となりmaple‐メイプルで会うことが多くなった。
ずっと苗字で呼んでいたから名前で呼ぶのが恥ずかしくて、未だに上野さんと呼ぼうとして叱られる。
「で?彩羽ちゃんはアルコールなし?」
高橋さんまでもが私の前に置いてあるグラスを指さして聞いてくるから頷くと、高橋さんは昔と変わらず良い子だと頭を撫でてくれる。
弓絵さんと結婚してからも私への態度は変わらず優しくしてくれる。
そしてふたりが椅子に座って楽しい時間が始まり、常連客に囲まれ、この上ない幸せな時間を過ごすことが出来た。
何があってもここに来ればみんながいて私を笑顔にしてくれる。
ひとりで生活する私にとって、誰もいない家にいるよりmaple‐メイプルにいる方が私は安心する。
それを分かってくれているから夜遅くにmaple‐メイプルにいても、過保護になったとしても本気で叱る人は誰もいない――