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光を求めて
第20章 私の未来
「優、遅かったね。僕も彩羽も待ちくたびれたよ」
雅也はわざとらしく私の背中に腕を回し優さんを挑発する。
その腕を振り払うといつものように雅也と口論を始めた。
「彩羽に触わじゃねぇ~……てか、お前が早すぎるんだろうが」
「僕が彩羽に触って何が悪いの?それに、僕は要領がいいからね。無駄な仕事はしないんだよ」
「悪いに決まってるだろうが!てか、お前が俺に仕事押し付けるから帰るのが遅くなったんじゃね~か」
「僕はそんなことしないよ。そうだよね。彩羽」
「はぁぁぁぁ??お前は昔からずるいんだよ。そう思うだろう?彩羽!」
「そんなことはないよね。彩羽」
返答に困る質問に笑うしかない。
そんな私にどっちの言い分を取るんだよと迫られ笑って誤魔かすしかなかった。
それでもふたりが仲良く口論している姿を見ると未だにホッとする。
一番大事な友だと言い切った雅也から優さんを奪わなくてよかったと思う。
その逆で雅也の願いを無条件に聞き入れて私を見守っていてくれた優さんから雅也を奪わなくてよかったとも思う。
「じゃれあうのもいいが23時過ぎてるぞ、そろそろ彩羽を連れて帰ってくれ」
じゃれ合うという言葉に反論をしたそうな2人だったが、時計を確認した雅也と優さんは当然の様に椅子から立ち上がり、雅也はバックを、優さんはカーディガンをかけてくれた。
そしてエレベータで下に降りれば優さんの愛車が停まっていた。