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光を求めて
第20章 私の未来
「送ってく」
その一言に、私と雅也は優さんの愛車に乗りこんだ。
車の中では仕事の話ばかりで正直面白くもない。
四六時中一緒に仕事しているのにどれだけ話があるんだと呆れながら外の風景を眺めていると、20階建てのマンションの前に車は停まった。
「送ってくれてありがとう」
「ついでだからな」
「それでも助かったよ。それじゃあ、明後日にまた」
「ああ」
「雅也、またね」
お互いに挨拶をし、私たちはそのまま我が家へ向かう。
雅也が車を降りてずっと不機嫌な優さん。
「どうしたの?何か怒ってる?」
そう聞いても、ぶすっとした表情でハンドルを握ったままで返事をしてくれない。
これは怒っているというより、拗ねていると言った方が正解かもしれない。
「ねぇ、優さん。久しぶりに会えたんだからそんな顔しないでよ。maple‐メイプルにいたのが気に入らなかったの?」
少し甘えた声を出せば、優さんはフッと笑う。
「別に怒っちゃいね~よ。ただ、家に戻ったらお前はいないし、携帯にかけても出ないから心配したんだよ。まぁ、maple‐メイプルだとは思ったがな。」
「だって、誰もいない家にいるの嫌なんだもん」
そう素直に寂しかった事を言葉にすると、優さんは大きな手で髪の毛を撫でてくれる。