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光を求めて
第20章 私の未来
「彩羽、ちょっと用事があるから先に行っててくれないかな?」
優さんと会う約束をしている当日の朝、雅也の一言に不安になる。
「一緒に行けないの?」
「ごめんね。用事が何時に終わるか分からないから先に行っててほしいんだ。なるべく早く行くから待ってて」
「でも……」
「大丈夫だって。優とは知らない仲じゃないんだしね」
そう言って笑顔を向けられると嫌だとは言えず、一人で待ち合わせ場所に向かった。
見ただけでも高級店だと分かる店構えに尻込みしてしまう。
外で雅也を待って一緒に入ろうかと思っていると、私に気がついたスタッフが出てきて店内に通された。
通されたのは個室で優さんだけがそこにいた。
「……お久しぶりです」
「ああ。元気だったか?」
「はい」
緊張して会話が続かない。
どうしていいのか分からず入り口の前に立っていると、さっさと座れといつもの口調で怒られ、優さんの前に座った。
「あの、彼女さんも遅れてくるんですか?」
となりに彼女がいないのが気になって聞けば変な顔をする。
「なんだそれ」
「えっ??」
優さんの返しに私のほうが頭の中にはてなが浮かんだ。