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光を求めて
第20章 私の未来
「あいつがお前にどういう説明したかは知らないが、今週初めに連絡があったんだ。久しぶりに飲みに行かないかってな。そこでお前との事を色々と聞かされた。毎日お前の手料理が食べられて幸せだとか、お前を抱いて寝ている時が一番幸せなんだとかのろけ話で、正直イライラした。そんな俺の気も知らないであいつはお前と3人で食事をしようと場所と時間を勝手に決めやがった」
優さんから聞かされる事は雅也が言っていた事と全て違った。
この手紙を読んでいなければ、どうしてそんな事をしたのかと疑問に思うけど、この手紙を読んだ今では何となく理解ができる。
「今日の朝、いきなり家に現れたあいつは、何も言わずに俺に殴りかかってきたんだ」
「雅也が??」
「そうだ、あの雅也がだ。自分が欲しいと思うモノは何が何でも手に入れる主義じゃないのか?それがお前だろうって……最初は何言ってやがるんだって思ったが、次の瞬間に全てを理解した。――雅也は俺にこう言ったんだ。僕がお前の気持ちに気がつかないはずがないだろう?ましてや好きな彼女の気持ちが誰に向いているか分からない程鈍感じゃない。これ以上僕を惨めにさせるな。僕の事を本当の友達だと思うなら僕に遠慮しないでくれ、と言われた」
優さんが語る雅也の言葉が手紙と重なる。
雅也は全てを理解し納得した上で、この場をセッティングして背中を押してくれている。
私でも認めたくなかった私の心の中を、一番に気がついて認めてくれた。