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光を求めて
第21章 繋り
「そんな事を言ってるんじゃないの!雅也と結婚したかったとかそんな事じゃない。ただ私は……そんな幸せがあったかもしれない未来を簡単に踏みにじった両親が許せないの。私の為とか言いながら、結局は私を家同士て繋げたかっただけ……名城家が繁栄するような相手と……それだけのために私の幸せをいとも簡単に切り捨てた両親を親とは認めたくないって、それを優さんには分かって欲しいのに」
言葉にしながら後から後から涙が溢れ出す。
「……悪かった。彩羽が雅也との未来を口にすると心配になるんだ。俺が雅也からお前を奪ったからな」
「それは違うよ」
ずっと黙っていた雅也が口を挟んで歩み寄り、私と優さんの背中に手を添えた。
「優が僕から彩羽を奪ったんじゃない。僕が最初に……そう、僕が最初に彩羽を手離してしまったんだ。どんな理由にせよ、その手を離したのは僕なんだ。だから優が心を痛める事じゃない」
「だけどっ」
「奪ったとか奪われたとか関係ないよ。誰を好きになって未来を共にするのか……それを決めるのは僕たちじゃない、ましてやご両親でもない。それを決めるのは彩羽だ。彩羽だけが決められる。……僕は選ばれなかったけど、今では彩羽が優の手を取ってくれてよかったと思ってる。彩羽が幸せならね」