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光を求めて
第21章 繋り
「優くんと言ったね」
父は優さんの名前を呼び、何を言い出すのかと睨みつける。
「私たちは……きっと、一番してはいけないことを彩羽にしてきてしまったんだろう。彩羽のいうとおり全てが今更で許してもらえるとは思ってはいない。それだけの事を私たちは彩羽にしてきたんだと彩羽の言葉でそれが良く分かった。それでも私はキミに言いたい」
その言葉に父が優さんを傷つける言葉を言うんじゃないかと気が気じゃない。
父はそういう人だから。
自分のしたことを正当化するためにはどんな手を使ってでも相手を追い詰める非道な人。
それを嫌と言うほど私は知っている。
だから何かを言われる前にと口を開きかけた時、父は弱々しい声で口を開いた。
「彩羽に嫌われても彩羽は私たちの大事な娘に変わりはない。だから幸せにしてやって欲しい。今まで辛い思いばかりを私たちのせいでさせてしまった。本来なら私たちがしてやるべきことを……キミに託したい。どうか、彩羽を、娘を幸せにしてやってほしい」
そう言って、父は深々と頭を下げた。
「私からもお願いします。どうか、この子の事……よろしくお願いします」
母までもが頭を下げる。
まさかそんな言葉を口にするとは思わず口を噤んだ。
「頭をあげてください。ご両親に頭を下げていただくようなことではありませんから」
優さんがそう言っても両親が頭を上げる事はなかった。