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光を求めて
第21章 繋り
「そろそろ私たちは帰るか。彩羽はちゃんと手を合わせてあげなさい。ずっと彩羽の事を気にかけていたからな」
頭を上げた父は、おじ様のお墓を振り返り当初の目的を思い出させてくれた。
「雅也くんも色々と悪かったね。今更謝っても許される事ではないが……何度もキミを傷つけてしまった。本当に申し訳なった。」
父は雅也にも深々と頭を下げた。
そんな父に雅也は笑顔を向ける。
「いえ。もう過ぎたことですから気にしないでください」
「そう言ってもらえると心が軽くなるよ。こんなことを頼める義理はないが、彼と共に彩羽をよろしく頼むよ……――じゃあ帰ろうか」
「そうね。彩羽、くれぐれも無理はしないようにね。何かあったらすぐに病院に行くのよ」
そう言って伸ばしかけた手を引っ込め、父に肩を抱かれながら帰って行った。
その後ろ姿を見ながら、こんなにも小さかった?と首を傾げるほど父の背中が小さく見えた。
その父に抱かれる母はもっと小さかった。