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光を求めて
第21章 繋り
「お前の気持ちも分からないでもないが……あれは言い過ぎだろうが」
父の背中を見ていると、父と一緒に居た男は私の横に立ち、私の頭をぐしゃぐしゃに撫でまわし、いつもの口調で話しはじめた。
「あの人がやったことは許される事じゃないのは十分分かってる。実の娘に縁を切られても仕方がない事だとは思う。けどな、あの人にもあの人なりの事情があるんだ。それを分かってやれ」
勝手な事を言わないでと怒鳴りたくて顔を上げると、その人は切なさそうに目を細めて父の後ろ姿を眺めていた。
「……事情があれば何をしてもかまわないの?私の人生を滅茶苦茶にしても許せっていうの?ゲンさんは全てを知ってるよね。あの人のせいで私がどんな人生を歩んできたのか……頭を下げられたぐらいじゃ許せないよ」
「そうだな。それぐらいでお前の辛さが消える事はないよな。それでも……俺はあの人を許してやって欲しいと思う。今すぐじゃなくてもいい、時がきたら笑って過ごすお前とあの人を、俺は見てみたいんだ」
ゲンさんは顔を歪ませながらそんな事を口にした。
何を思ってそう言葉にするのか、今の私には理解できなかった。
一番身近で私を見てきたゲンさんの口から語られる言葉とも思わず唇を噛みしめた。
だけど、娘さんを亡くしたゲンさんにとっては、そう思うのは仕方がないのかもしれない。