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光を求めて
第21章 繋り
「違う道を進んでも関係性は変わらない。それどころかそれぞれが結婚して子供ができれば家族ぐるみで会うことが多くなった。――前に一度、お前は夢を見たと言ったな。自分に良く似た子と遊んでいたと。それな、きっと楓なんだ」
「楓ちゃん?」
「ああ、そうだ。同じ年に生まれ、何かにつけて遊んでいたから本当に双子のように育ったんだ。性格は違ったが……楓は活発で男勝りな所があった。それとは逆でお前は名城家らしくおとなしかったよ。そんな二人はよく洋服を交換して俺たちをだましていた。髪型が違うから分からないはずがないんだが俺たちが騙されたふりをすると、お前たちは喜んでいてな」
夢を見てゲンさんに話したことは覚えている。
だけどあれが現実だと言われてもピンとはこない。
ゲンさんの言う通り頻繁に会っていたのなら、楓ちゃんの事を覚えているはず。
「全然覚えてない」
「そうだろうな……楓が死んで相当ショックを受けていたからな。俺も名城さんも無理に思い出さない方が彩羽の為だと何も教えない事にしたんだ。そして俺は楓を失った絶望で名城さんとも須藤さんとも疎遠になり会う事もなくなった――少し肌寒くなったな、彩羽は大丈夫か?」
夏が終わりかけていると言っても海沿いの高台は冷たい風が吹き付けていて私の身体を気遣ってくれる。