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光を求めて
第21章 繋り
「早くその子を返して!汚らしい手で触らないで!!」
私がどんなに声を張り上げても父が愛娘を返してくれることはなかった。
それどころか信じられない話を優さんは始めた。
「ところでお義父さん。この子の名前、決めていただけましたか?」
「……本当に私でいいのか?彩羽が反対するだろう」
「当り前よ!!優さんどうかしてる!!そんな人に子供の名前つけさせないで!!優さん!!優さん!!!」
癇癪を起して怒鳴り散らす私に寄り添うのは愛しいと思っていた旦那様ではなくゲンさん。
私に寄り添いながら、私の涙を拭ってくれる。
「決めてきたんですよね。お義父が決めないと名前が決まらないんですよ」
私の言葉を徹底的に無視するかのように話しを進める。
それが悔しくてゲンさんの胸に縋って泣いた。
ずっと私の味方だと思っていたのに、あの時に私の思いは伝わったと思っていたのに、こんな事で裏切られるとは思わず悔しかった。
「一応は決めてはきたが……本当に良いのか?」
「はい。お義父さんに決めて欲しいんです。きっと、この子に似合う名前を決めてくれると思いますから」
「そうか、だったら……あやか、私はこの子に『あやか』と名付けたい」
「あやかですか?良い名前ですね。漢字はどう書くんですか?」
私と優さんの大事な子供なのに、私のいない場所で勝手に名前が決まっていく。