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光を求めて
第21章 繋り
「ゲン……キミさえ嫌ではなければ、この字を使いたいんだ」
そう言って父は一枚の紙をゲンさんに渡し、それを見たゲンさんは言葉を失った。
「これはっ……」
「この子が生まれてこられたのは楓ちゃんのおかげだ。楓ちゃんの命を引き換えに生まれて来たと言っても過言じゃない……だから楓ちゃんの名前を入れたいんだ。私が楓ちゃんやキミにしてやれるのはこんなことぐらいしかない……これでも足りないぐらいだ」
「でもっ」
動揺するゲンさんを横目に、父は私の手元に愛娘を返してくれた。
その愛娘を抱きしめながら、ゲンさんの手の中にある漢字を覗き見る。
「彩羽が許してくれるのなら、彩羽の彩りと、楓ちゃんの楓で『彩楓(あやか』と名付けたい……――全てを聞いた上で判断してくれ」
「名城さんそれはっ!!」
「もういい。……彩羽も母親になったんだ。全てを知るには良い頃合いだ」
「待ってください!それは墓場まで持って行くと決めたじゃないですか。今更本当の事を言われても彩羽が困るだけだ!」
ゲンさんは手に持っている紙をクシャクシャに握りしめて父に反発するが、父はゆっくりと首を横に振る。