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光を求めて
第3章 ゲンさんとの出逢い
握りしめている一万円札を見ていると自然と涙が溢れてくる。
何に対しての涙なのか分かない。
ただ、その一万円札が温かく感じて声を殺して泣いた。
その間に何人もの人に声をかけられるけど、返事もできないまま泣き続けた。

「まったく……気を付けろと言ったばかりだろう。こんな場所で泣いてたら変な男に掴まるだろうが」

その声に顔を上げると、一万円をくれた男が面倒そうな顔で立っていた。
それでも戻って来てくれた事が嬉しくて、益々涙が溢れ出る。

「帰り、たくないんです。あの家は、辛い」

「だからと言って変な奴に掴まって取り返しのつかない事になる方がダメだろう」

「それでも、あの家は……イヤ」

私の言葉に男は小さく溜息を吐く。
ガシガシと頭を掻きながら、どうするかなぁ~と言葉にしながら考えていた。
そんな姿を見ていると、今までの男とは違う気がして縋りたくなる。
今までいろんな男と出会い、いろんな男に抱かれてきた。
優しい人もいれば、そうじゃない人もいた。
身体を売ることはダメなことだと説教する男がいても、結局はお金で私を買いSEXをする。
真剣に私を心配する大人なんて一人もいなかった。
だけどこの人は違う。
お金だけを渡して帰れという。
そしてどうするか真剣に悩んでくれている。


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