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光を求めて
第22章 光に向かって
微笑ましく見ていると、いつものように彩楓の奪い合いが始まった。
どちらも可愛がってくれるのはありがたいけど、どっちが彩楓に好かれているかと競いはじめるのだから大人気ない。
そんな大人気ないジージ達は彩楓の一言で我に返る。
「けんかは、めっ!!なの」
無邪気な笑顔で言われれば、お互いに見合って苦笑い。
そんなふたりの元に私は足を進めた。
「お待たせしました」
「いや、我々も少し前に来たところだ」
「良く来たな。」
ゲンさんはいつものようにワシャワシャと頭を撫でてくれた。
それだけで心は穏やかになる。
「とりあえず参ってやってくれ。楓も喜ぶ」
そう言ったゲンさんは私の背中を押して楓ちゃんの墓石の前に立たせてくれた。
『玄江 楓 享年8歳』