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光を求めて
第22章 光に向かって
一通り知っている人たちに見せびらかして公園で休憩をしている時だった。
知らないおじさんが話しかけてきて、逃げようとした瞬間、そのおじさんは楓ちゃんだけを抱きかかえて車に乗って走り去っていった。
私は怖くて家に走って帰り、父たちに楓ちゃんが連れ去られたことを告げた。
警察に電話をして大人たちはゲンさんの家に行き、子供だった私は母と兄と3人で自分の家で待つように言われた。
朝方、薄っすらと外が明るくなり始めた頃、家の電話の音が不気味に鳴り響いた。
正直、スマホがある時代に家の電話が鳴る事は殆どない。
母は緊張をした面持ちで家の電話に出ると、青ざめて震える声で答えていた。

『待ってください。今主人はいないんです……それはっ……はい……分かりました1時間後ですね』

電話を切った母は慌てて父に電話をした。

『あなたっ!!犯人から電話が!!一時間後にまたかけるからって、その時にあなたがいなければ彩羽を殺すって』

そう言って母は泣き崩れてしまった。
私は意味が分からず泣き崩れる母を抱きしめる事しかできなかった。
それから30分程して父は警察の人と戻って来た。
警察の人は慌ただしく何かをはじめ、父は母を抱き上げてソファーに座らせた。



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