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光を求めて
第22章 光に向かって
そんな中、ちょうど1時間経った頃に電話が鳴り、家の中が一気にざわつきだす。
鳴り響く電話に出る父は顔を強張らせ、大人たちは固唾を飲んで相手の言葉を待った。
『もしもし……』
警戒する父に、スピーカーになっている電話からは犯人の声が響いた。
――まさか娘が誘拐されたのに家にいないとはな。さすが名城家の当主だ。
そう言って犯人は嘲笑った。
だけど次の瞬間には冷たい低い声に変わり、楓ちゃんが私の身代わりなったのだと、それが偽りではないのだと突きつけられる。
―――まぁいい、お前の娘は預かった。無事に帰して欲しければ顧客名簿と1億円用意しろ。期限は3日。それまでに用意しなければこの子の命はない。冗談だと思うなよ。
一方的な言葉で電話は切れ、その内容は自宅にいるゲンさんに伝わった。
そのゲンさんは青ざめた顔をして、数人の警察官と一緒に家にやってきて父に頭を下げた。
どうか楓ちゃんを助けて欲しいと。
だけど父の答えはこうだった。
『1億だろうと2憶だろうとお金は用意する。しかし顧客名簿だけはダメだ。あれを人に渡すことなど無理だ』
『それじゃあ、楓を見殺しにすると言う事ですか?』
『いや、次に電話がかかってきた時に交渉する。いくらでもお金は用意すると』
鳴り響く電話に出る父は顔を強張らせ、大人たちは固唾を飲んで相手の言葉を待った。
『もしもし……』
警戒する父に、スピーカーになっている電話からは犯人の声が響いた。
――まさか娘が誘拐されたのに家にいないとはな。さすが名城家の当主だ。
そう言って犯人は嘲笑った。
だけど次の瞬間には冷たい低い声に変わり、楓ちゃんが私の身代わりなったのだと、それが偽りではないのだと突きつけられる。
―――まぁいい、お前の娘は預かった。無事に帰して欲しければ顧客名簿と1億円用意しろ。期限は3日。それまでに用意しなければこの子の命はない。冗談だと思うなよ。
一方的な言葉で電話は切れ、その内容は自宅にいるゲンさんに伝わった。
そのゲンさんは青ざめた顔をして、数人の警察官と一緒に家にやってきて父に頭を下げた。
どうか楓ちゃんを助けて欲しいと。
だけど父の答えはこうだった。
『1億だろうと2憶だろうとお金は用意する。しかし顧客名簿だけはダメだ。あれを人に渡すことなど無理だ』
『それじゃあ、楓を見殺しにすると言う事ですか?』
『いや、次に電話がかかってきた時に交渉する。いくらでもお金は用意すると』