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光を求めて
第22章 光に向かって
父は顧客名簿を渡すことを頑なに拒み、ゲンさんはソファーに座って頭を抱えた。
私が洋服を取り換えようと言わなければよかった、外に出なければ楓ちゃんが連れ去られることもなかった……そう思うと申し訳ない気持ちで心がいっぱいになった。

『ゲンのおじ様、ごめんなさい。私が洋服を取り換えなければこんなことには……ごめんなさい……ごめんなさい……』

『彩羽ちゃんのせいじゃないよ。彩羽ちゃんのせいじゃない』

泣いて謝る私をゲンさんは何度もそう言って、抱きしめてくれた。
それから3日経った早朝、犯人から電話がかかってきた。

――金と顧客名簿は用意はできたか?

『お金はいくらでも用意はする。だが顧客名簿だけは渡すわけにはいかない』

――やっぱり子供の命より会社が大事ってわけか?

『そうではない。お金はいくら出しても構わない。2憶だろうと3億だろうとキミが提示する金額を渡す。だから子供を返してくれ』

――はっ?俺は金と顧客名簿と言ったんだ。顧客名簿がなければ交渉決裂だ

『待ちなさい!!10億だそう。それと警察には一切手を引いてもらう。それでどうだ?』

――俺は顧客名簿が欲しいんだ。それと1億。それ以上は無用だ

どんなに交渉しても犯人がお金だけで許してくれることはなかった。


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