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光を求めて
第22章 光に向かって
「ゲンさん、父は何をしたの??」
「名城さんはな、俺が生きていく為に生きていく場所を作ってくれたんだ。――俺が何も手がつかず魂の抜けた生活をしていた時にな。知り合いからバーを引き継いでくれないかと連絡がきたんだ。何でも海外でやりたいことがあるから店を閉める事にしたと。だが閉めるのはもったいないから暇なら引き継いでほしいと言われた。建物は自分の持ち物だから利益がでなくてもいい、最初の一年間は運転資金も渡してやると言われて何気なく引き受けた。その時は何もせずにいる俺に何かをさせようとしていると思ったからな」
「それが父と関係があるの?」
ゲンさんの話が父とどう関わり合うのか分からなかったから聞くと、ゲンさんは私の頭をポンポンと叩き教えてくれた。
「ああ。その店は俺の為に名城さんが作った店だったんだ」
「知っていたのか!?」
父が驚いた様に声をあげるとゲンさんは笑った。
「ええ。調べればすぐに分かりましたよ。あのビルは名城さんの名義でしたからね。爪が甘いんですよ。爪が」