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光を求めて
第22章 光に向かって
「どうすればお前に幸せな人生を与えてあげられるのか、それを考えているうちに、名城家より力がある家に嫁げば守られると思うようになった。お前が雅也くんとつきあっている事を知った時は心から喜んだ。雅也くんの人となりも知っているから須藤家ならばと思っていたが……会社の現状を知った時、何かあったときに雅也くんだと守れないと思った。今に思えば私の勝手な思い込みなんだろうが、当時の私は本気でそう思っていた。だから負債を肩代わりする代わりに彩羽と別れる事を了承させたんだ。おかしな話で、雅也くんが頷いた時は彩羽への気持ちはそれくらいのモノだったのかと落胆もした。本当に自分勝手な人間だと思うよ――そして、お前が家出をしてゲンの所にいると分かった時、元警官のゲンなら大丈夫だと預けた。そして戻って来たお前には一番力がある人と結婚させようとあの男に決めたんだ……結局は彩羽を苦しめただけだったのにな」
父のやったことは間違っている。
だけど、そこに愛情がなかったわけじゃない。
愛情があったからこそ名城家より力がある人との結婚を望んでいた。
「お前に疎まれていることは分かっていた。昔に比べて親子の距離は近づいたと思うが……お前の言う通り、私たちはどこかで線を引いて本当の親子にはなれなかった」
父も私と同じように感じて悩んでいたのが良く分かる。