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光を求めて
第3章 ゲンさんとの出逢い
「ね~ゲンさん」
「んっ?何だ?」
ゲンさんに入れて貰ったココアを飲みながらゲンさんの名前を呼ぶと、ゲンさんは雑誌から顔をあげて私の方を向いた。
「えっと……私、行く場所がさ、なくて……」
「それは知ってる」
あっ、そうなんだと思いながら次の言葉を探した。
「えっと、だからお金もなくて……」
「見ててそうだろうなとは思う」
「えっと、家にも帰れなくて……」
「行く場所がないならそうだろうな」
私の言いたいことを理解してくれていないのか、相槌を打つだけで私が何を言いたいのか察してはくれない。
「えっと、だから、その……」
どう言えばここに置いてもらえるのかと言葉を選んでると、いきなり声を出して笑い出した。
笑い終わると、にじみ出た涙を拭きながらそれで?と話を促す。
「だから、もう少しここに置いてほしいんだけど……」
言葉にしてチラッと顔を見ると、今度はフッと笑う。
「そろそろ夏休みだよな」
「うん」
「だったら夏休みの間だけな?夏休みが終わったら家に帰る事。これが条件だ」