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光を求めて
第3章 ゲンさんとの出逢い
「もういいだろう。帰って来なさい」
父が数人のスーツを着た男を連れて立っていた。
「どうして……」
「お前の事など調べればすぐに分かる。夏休みは自由にさせてやったんだ。これ以上の我儘な許さん。――連れて行け」
後ろに控えている男に言葉をかけると、その男たちは私の腕を取り引きずるように公園を出て行こうとする。
「待って!!お父様!!私、人を待ってるの!!ここで待つように言われたの」
どんなに叫ぼうと私の声は父には届かない。
自分が決めたことを曲げない父が私の言葉などに耳を貸さない。
「ゲンさん!!ゲンさん!!ゲンさん!!」
何度も何度もゲンさんの名前を呼んだ。
こんな私を見たら助けてくれると思っても、ゲンさんが姿を現すことはなかった。
無理やり車に乗せられ家に着くと母が私に手を挙げ、そして抱きしめられた。
その瞳からはいくつもの涙が溢れていた。
悪ことをしたと分かってる。
母が悪いわけじゃない。
父が悪いわけじゃない。
だけど、惨たらしい現実を私の目の前につきつけた両親が許せなかった。
一番悪いのはあの男。
だけど、幼かった私は両親をも恨んでしまった。