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光を求めて
第3章 ゲンさんとの出逢い
「戻ったらお前の父親と名乗る奴がいてな。深々と頭を下げられたよ。その姿を見てホッとしたのを覚えてるよ」
「ホッとした?」
私の言葉にゲンさんはカウンターの中にある椅子に座り、自分用に作ったウィスキーを一口飲んでグラスを傾ける。
「ああ。お前さ、夏休み明けたら家に帰る約束してたのに帰る気なかっただろう?また駅前で泊めてくれる男捜そうとしてたよな」
「それはっ」
見透かされていたことに驚いて声をあげると、クククッと楽しそうに笑った。
「見てたらわかるさ。どうしたもんかと考えてたら父親が迎えに来て俺に頭を下げたんだ。それを見て、そんなに悪い父親じゃないなと思ったんだよ。だからホッとしたんだ」
それは初めて聞く話だった。
父が私のために頭を下げるなんてありえないし、人に頭を下げている姿が想像できない。
「あの人が頭を下げるなんて……」
「お前が知らないだけじゃないのか?ちゃんとお前は愛されているよ。そう思ったから安心できたんだからな」
最近は温厚になったとしても昔の父が私のために頭を下げるなんてやっぱり信じられなかった。