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光を求めて
第4章 自業自得
「お客さん、うちはそういう店じゃないから。探すなら他の店に行ってよ」
「え~~」
不満を漏らす男に、持っていたグラスを音を立ててカウンターの上に置いた。
「ここはバーだからさ。静かに飲んでよ。じゃなかったらお代はいいから帰ってくれないか?」
かなり怒ってはいるけど、この店のマスターとして声を抑えて冷静に対応してくれる。
「ごめんなさい。彼女があまりにも可愛かったからつい……ごめんね」
軽く私たちに謝り、自分の席に戻る彼を窓越しに見た時ゾッとした。
今まで私に見せた顔が一変し冷たい……無表情の顔をしていたからだ。
だけど自分の席に着くと、変わらない笑顔でお酒を飲み始めた。
ゲンさんの言葉の意味が良く分かり、知らずについて行かなくてよかったと心底思った。
その後、何人かに声をかけられても要注意人物が居座っているから相手にすることも出来ずに帰ることにした。
これからまだまだ遊ぶであろう若い子たちとは反対の、キラキラと光るネオンから遠のく寂しさを感じながら駅に向かった。