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光を求めて
第5章 初恋
幸せだった甘い時間。
愛し愛され永遠と思っていた時間。
それと同時に悲しみも思い出し、その悲しみに押しつぶされそうになる。
憎んでいるはずなのに、その背中に腕をまわしたい……

「勝手な――いてててっ」

彼の胸の中で懐かしく思っていると、男の呻き声が聞こえてきた。
見なくても彼が何をしたかは分かってる。
男の腕を捩じり上げ、私には見せない鋭い眼差しを男に向けて威嚇しているんだろう。
普段は温厚で優しい彼。
だけど、武術を習っている彼がその辺りの男に負けるわけがない。

「そう言う事で、彼女は連れて行くよ。悪いね」

彼は何事もなかったかのように私の腰に手を回し、今来た道を戻りはじめた。
大通りに出るとタクシーに押し込まれ、彼が告げた場所は私の家の住所。
どうして知っているのかと驚いて顔を上げると、初めて彼と目があった。
昔と変わらない西端な顔立ちに、穏やかな表情は私を昔に逆戻りさせる。
まだ幼かったあの頃。
私は彼と結ばれ幸せな人生を送るのだと疑うことがなかったあの時代……


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