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微睡みの中で
第7章 戸惑い
「お、坂口!もう大丈夫なのか?」
「う、うん、ありがとね。浪川くんも…あ、ありがと」
「うん」
聡は「うん」しか言わなかったけど、初めての会話はこれ。
その後も全くと言っていいほど話す機会は無かったけど、それ以降、翔馬が声を掛けてくれるようになって、前よりは打ち解け、聡とも素で話せるようになっていた。
翔馬にいつも振り回されていたり。
意外と冗談もう言う人だったり。
クールぶってるのはただの人見知りなだけだったり。
みんなの前ではあまり見せない聡の一面を知れて嬉しかった。
ふと、私が倒れた日のことを思い出した聡が、「痩せる必要ないと思うけど」と言ってきた。
単純な私はその言葉一つでダイエットをやめ、受験勉強も順調に進んで無事合格した。
合格発表の時、翔馬が私を見つけ、聡と合流して喜びを共有した。
どんな高校でも、好きな人とまた3年間、一緒に過ごせるなんて夢みたいだった。