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微睡みの中で
第7章 戸惑い
「…いいんだ。あの時はたしかにショックだったけどさ…。さっきも言ったように莉奈ちゃんがそれで幸せだったならそれでいいかって…。でも本当は聡には敵わないって思って尻込みしてたんだ。…俺もさ、きっぱり諦めようって思って他の女の子にふらふらしてたし…でも結局諦めきれなかった…」
翔馬は私から少し身体を離すと、また、ぽつりぽつりと静かに語りだした。
私は翔馬の表情を少し伺ってみた。
顔は思ったとおりに真っ赤になっていて、恥ずかしそうに俯いて喋っていた。
「ずっと我慢して想い続けてたら、いつか俺のところに振り向いてくれないかな、なんて思ったりもしてたけど、莉奈ちゃんの頭のなかにはずっと聡がいたから…我慢できなくなって…俺…」
まさかここまで自分のことを思ってくれているとは思わなかった。
これは嬉しさなのか。
動揺なのか、混乱、困惑なのか…。
いろんな感情がごちゃまぜになってまた涙が溢れてきた。
今まで、自分から気持ちを伝え続けてばっかりだった。
でも私自身が求められることは、なかったから。
きっと、本当に自分を求めている人が目の前にいて嬉しいんだ、私。