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微睡みの中で
第2章 部屋
「俺は…」
口を開こうとすると、莉奈はもうすでに次の言葉がわかっているとでも言うように目に涙を浮かべた。
「やっぱり、莉奈の気持ちには応えられない…ここまでやっといて俺、本当に最低だけど…莉奈の事を好きになればなろうとするほど、どんどんわからなくなっていくんだ…だからこれ以上莉奈を苦しくさせるんだったら、もう…こういうのやめよう」
テレビの音だけがうるさく鳴り響く部屋の中で、莉奈は、つうっと涙を頬に伝わせた。
慌てて拭いいつものように必死に取り繕うと、俺の胸に顔を埋めた。
その声はとても震えていた。
「…っううん、聡に無理いったの私だもん…嘘でも好きって言って欲しかった…けど聡の言う通り、もうやめにしたほうがいいのかも。ほんとに歯止めきかなくなる前でよかったかもしれない…」
俺の胸の中で泣いている莉奈の肩や頭に、手を添えていいのかわからなかった。
良くしてもらってたのに、俺。
恩返ししたいなあとか思ってたのに、莉奈が求めているものを俺は与えることができない。
何もかも、ちゃんと考えれば分かったことだよな。