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微睡みの中で
第3章 翻弄
「…そうねえ…。これから抜け出さない?ね?」
「え、でも俺荷物番しなくちゃ…」
「飲み物だけ置いて付近のロッカーに預ければいいわ。鍵はあの子達に渡しに行くから」
「は、はぁ」
沙耶香は俺とおなじタイプで、今日ここにきたのも無理やり誘われてきたのかと思っていたけど、実は翔馬と同じで結構誘ってくる人だった。
というより単純に俺が断れないだけなのかもしれない…。
つくづくダメ男だ…。
…待てよ。
抜け出すということは多分そういう雰囲気になっちゃうみたいな事ですよね?
別にまずい話では…いやむしろご褒美ではあるんだけども。
莉奈とああいうことがあって間もないのに…。
俺って本当に節操なし…なんて迷っている気持ちとは裏腹に、この身体を味わってみたいという気持ちもあり、何とも言えない程度の低いジレンマが襲う。
「行きましょ」とニッコリ笑う沙耶香が俺の手を引いた。
着替えて海水浴場を出たあと、沙耶香がスタスタと歩いてしまうので、俺はそれについて行っていた。
「沙耶香さん、抜け出すってどこへ…」
「別にどこだっていいわよ、とにかく、街の方へ行きましょ」
街に出たと思うと、沙耶香は立ち止まってくるりと俺の方に向くと顎を引き、サングラスをクイッと下げて興味深そうにジーッと俺を見つめた。