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微睡みの中で
第3章 翻弄
「そんなに緊張しないでよ、私まで緊張しちゃう」


「すみません、あんまり年上の人と話すことってなくて」


「まあ、初対面だものね…敬語使わなくてもいいわよ」


沙耶香が「私には…」言うとほぼ同時に、注文した物がきた。


アイスティーには砂糖水をたっぷり入れていて、グラスから溢れそうなほどだった。


…かなりの甘党なんだろうな。


透明の液体がコップの中でうねうねと動いているのが見えた。


ストローでチューッと一口飲む姿を見て、俺も一口飲んだ。


「…対等に接してくれた方が嬉しいわ」


「…わかった」


「うん」


気が強そうな顔をしているのに、時々ふんわりとした雰囲気で笑うのが、ドキっとさせられる。

カフェでお茶をした後、沙耶香が寄りたい所があるといったのでそこで買い物をして、そのまま沙耶香の部屋に来た。


「さ、あがって」


部屋は1DKだった。一人暮らしには十分って感じの広さだ。


さっき物をたくさん買っていた割には、片付いていてスッキリした部屋だった。


これが20代のお姉さんの部屋か…なんだかいい匂いがする。


「ふふふっ、今頃あの子達慌ててるわよ。みて、着信がこんなに」


ベッドに座ると鞄からスマホを取り出し、俺をとなりに座らせてその画面を見せた。


しまった、俺にも来てたかもしれない。


よくサイレントに設定する癖があるので、あまりスマホを見ることがない。


案の定、翔馬からメッセージと着信の嵐だった。

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