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微睡みの中で
第4章 祭
「何よ、私と約束していたのに、薄情ね」
「ホント。あいつだってほかの奴らに裏切り者とかいってたクセに」
「私達も今、裏切られたから、裏切ってやろうか?」
俺の腕をそっと掴み、身を寄せてくる沙耶香。
ついこの間嗅いだ、爽やかな石鹸のような香水の香りがする。
ふと抱き合ったあの日のことを思い出してしまう。
ゆ、浴衣のせいか…?
この間よりずっと色気やエロさが増したように感じてソワソワを隠せずにいた。
その後しばらく祭りの雰囲気を堪能していると、沙耶香の歩く速度が遅いのに気がついた。
どうやら履き慣れない下駄で鼻緒擦れしているようだった。
「ちょっとどこか座れるとこで休憩しようか」
驚いた顔で俺を見ると苦笑いしながら「そうね」と答えた。
ワイワイと賑やかなところから少し外れたところで腰掛けられるようなところに沙耶香を座らせて、足元にしゃがみこんで下駄を脱がせた。