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微睡みの中で
第4章 祭
その後も話し出す様子は見せず、チラリと顔を覗き込むと、目を閉じていた。
少しだけ汗ばんだ感じと、今も香る香水の匂いが俺の理性をかき回すように。
この無言の時間、きっと束の間だ。
今は存分に楽しんでおこう。
「……あ、いけない…」
ずっと黙りこくっていた沙耶香が突然小さな声でつぶやき、俺もその声に我に返った。
「ごめんね、心地よくって。そろそろ花火の時間ね」
「あ、あぁ、そうだね」
俺も心地よく若干微睡みかけていたが、もうそんな時間か…と内心、時間の進む速さを恨む。
お尻の方や、浴衣のシワをぱっぱっと払いながら立ち上がる沙耶香が、俺に手を差し出した時、俺の背後で大きな破裂音と共に空に開花する。
その明るさで沙耶香の顔と瞳がキラキラと輝いていた。
立ち上がった俺の隣で「わあキレイ」と打上花火を楽しむ沙耶香を横目に見ながら、「この人のほうがきれいだなあ」なんて、よくあるベタなことを頭の中で考えていた。
小心者の俺にはそんなことを伝える勇気なんかなかった。
少しだけ汗ばんだ感じと、今も香る香水の匂いが俺の理性をかき回すように。
この無言の時間、きっと束の間だ。
今は存分に楽しんでおこう。
「……あ、いけない…」
ずっと黙りこくっていた沙耶香が突然小さな声でつぶやき、俺もその声に我に返った。
「ごめんね、心地よくって。そろそろ花火の時間ね」
「あ、あぁ、そうだね」
俺も心地よく若干微睡みかけていたが、もうそんな時間か…と内心、時間の進む速さを恨む。
お尻の方や、浴衣のシワをぱっぱっと払いながら立ち上がる沙耶香が、俺に手を差し出した時、俺の背後で大きな破裂音と共に空に開花する。
その明るさで沙耶香の顔と瞳がキラキラと輝いていた。
立ち上がった俺の隣で「わあキレイ」と打上花火を楽しむ沙耶香を横目に見ながら、「この人のほうがきれいだなあ」なんて、よくあるベタなことを頭の中で考えていた。
小心者の俺にはそんなことを伝える勇気なんかなかった。