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微睡みの中で
第6章 気持ち
その言葉にはいろんな細かい意味が含まれている。
相棒や相方であったり、ダンスの相手であったり。
更には、配偶者のこともそう呼ぶ。
最初は相棒から始まっても、関係を深めれば実質的な恋人関係にでもなれる。
もちろん良いパートナーでいなくてはならない…。
けど俺からすると、焦ることの無い…視野の広くて良い意味を持った表現だった。
「告白してきた相手に断る口実が欲しかったのも、申し訳ないけど理由の一つよ。でもそれはほんの小さな理由なの。1番はそれではないの…」
「その、1番の理由を聞いてもいい?」
単純に知りたいと思ったから聞いてみた。
沙耶香は視線を俺に戻すと、改まって座り直した。
「なんか自分のこと語るって照れくさいわね…。…コホン。…告白された時、聡くんのことが頭に浮かんだの。体の相性がよかったからか、私が貴方のことを可愛く思っているからか…それがどう言う意味なのかは自分でもちゃんと分からなかったけど…」
そこまで喋ると沙耶香は突然柄にもなく動揺し、墓穴を掘ったというような顔をしていた。
そしてまた一口、水分補給をすると、深呼吸をした。
「…聡くんと一緒にいる方がずっとずっと、何倍も楽しそうだと…思ってしまったの…。…相性いいし…その…エッチ…するのも、聡くんがいい…というか…」
細々とした蚊の泣くような声でそう言い、顔をみるみる真っ赤にして行きながら俯く姿。
それは俺が今まで見てきた『大人の女性である沙耶香』とはまるで掛け離れていた。