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微睡みの中で
第6章 気持ち
「…くっ、ははっ!」
「なんで笑うのよう!真剣に話してるのに…っ」
その姿が可愛すぎて俺は胸に大きな『萌え』のような気持ちを抱いていた。
先程までネガティブに考えていた沙耶香と付き合う話も、沙耶香の考えや気持ちを聞いてからは前向きに変わっていた。
今までの固定観念を1度捨ててみると今まで狭まっていた視野が広くなった気がした。
告白して付き合うという、おまじないや儀式に似たことをする必要は、そこまで重要ではないと思った。
沙耶香の求めている関係は、パートナーだ。
ただ一緒にいたい人と一緒に居るだけでいい。
それはきっと俺も同じ…それなら好きや愛してると言う感情がすぐそこになくてもいい気がした。
時間をかけてでもいい気がしたんだ。
一見そんな関係なら誰でもいいじゃないかと思った。
けど、俺がさっき沙耶香に告白したという男性に、少し嫉妬心を抱いてしまったのは、俺にとっても沙耶香は一緒にいると楽しい人で、一緒にいたい人で、その人の所に行かれたくないと思ったからだろう。
「沙耶香さん。俺、なんか色々と腑に落ちた。パートナーっていうのいいと思う。今の俺も沙耶香さんと同じ考えだ」
沙耶香は余裕のない様子のまま顔を上げると、それを取り繕うようにいつもの様子に戻って、髪の毛を耳にかけた。
「…っ、そう。よかった。…そうね、付き合うっていう表現が悪かったわね…。動揺させてごめんね、反省だわ」