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微睡みの中で
第6章 気持ち

動揺してたのはそっちだろうと喉まで出かかっていたがそれを飲み込み、胸の中にしまって頷いた。


沙耶香に何度も照れくさい思いをさせるのも悪いと思い、気持ちへの肯定の意味を込めてテーブルの上で組んでいた沙耶香の手に自分の手を重ねた。


沙耶香もそれを受け取ったように微笑み、「ありがとう」と呟いた。


それから沙耶香が気を紛らわせるようにケーキを2つ注文した。


食べ終わってカフェを出る。「今日はこれからどうするの?」とこの後の予定などの話をしながら特に宛もなくフラフラと歩いていた。


時間はまだ遅くないにも関わらず外が薄暗くなっていることに気がつく。
しとしとと雨が降り出した。


「また突然ね…降る予報じゃなかった気がするけど…」


沙耶香は深いため息をつきながら困った表情を見せた。


お互いに傘などもっていなかった。


少しの間は止むのを期待してそこら辺の店の軒先などで雨宿りしていたが一向に止む気配を見せず、むしろどんどん強くなっていた。
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