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微睡みの中で
第6章 気持ち
「参ったな…」
「私の家の方行きましょ。もうすぐそこだし」
手をガシッと掴まれ、沙耶香の家まで連れてこさせられた。
前に来た時こんなに近かったっけ…と思うくらい、タクシーを呼ぶ距離でもなかった。
途中で雨宿りしながらとはいえ、案の定びしょ濡れ。
沙耶香は直ぐにタオルを持ってきてくれた。
「シャワー浴びて。できるだけ大きめの服用意しとくから」
「ありがとう」
ささっとシャワーを浴び、準備してくれた沙耶香には明らかに大きめのTシャツとジャージを身にまとった。
「沙耶香さんには大きいんじゃないの、これ」
「ふふっ…大きいTシャツってワンピースみたいに出来て、持ってると楽なのよ。ジャージはサイズ間違えちゃったの。でも使えるしいいかと思ってそのまま使っているのよね」
そういった他愛のない会話を少ししたあと沙耶香もシャワーを浴びに行った。
俺はソファに腰掛け、特にすることもなく部屋を眺めていた。
部屋の中は前来た時とは違った心地よい香りが漂っていた。
沙耶香がアロマを焚いてくれたらしい。
俺はその香りに包まれながらいつの間にか眠りに落ちていた。